第22回 新コミックエッセイプチ大賞 結果発表 第22回 新コミックエッセイプチ大賞 結果発表

第22回 新コミックエッセイプチ大賞 結果発表


受賞作品

今回もさまざまな経験を描いた力作をご応募いただき、ありがとうございました!
応募総数約200通の作品のなかから選ばれた、第22回「新コミックエッセイプチ大賞」受賞作を発表します。


  • ろまこ
    入賞
    『ほのかな夜には絵日記を』
    ろまこ
    講評
    不安を抱えながら生きる日々の中で、日常の些細な出来事や悩み、可笑しさを描いたコミックエッセイ。

    イラストが非常に魅力的。表現力も高く、主人公の佇まいや言葉の選び方にもポテンシャルを感じる。ただし、内容的には一話ごとに上手くまとまっていて読みやすいが、応募作のテーマで一冊の書籍にするためには課題も多い。作者のファンになる熱量のある読者をどう作り、惹きつけていくかを検討したい。描く力がとてもあるので、他のテーマでの漫画もぜひ読んでみたい。

  • サリー
    入賞
    『休みときどき学校』
    サリー
    講評
    不登校の娘と、そんな娘に寄り添う母親が、付き添い登校や日々の生活を通じて、前向きに歩んでいく様子を描くコミックエッセイ。

    海や庭などの自然を描いたカラーページが美しく、色彩豊かに感情を表現できている。母親の不安や葛藤、小さな工夫を重ねていく過程が細やかに描かれており、比喩表現や言葉選びのセンスに惹かれる。一方で、母親の心情描写がやや冗長でもあり、読んでいて鬱々としてしまう印象も。作中では娘の存在感が薄いため、母娘の対話や娘の人柄が見えるエピソードをもっと増やしたい。不登校を描くコミックエッセイは多いため、この作品ならではの切り口や主題を探りたい。

  • ミラノ
    入賞
    『夢のロマンティックおばさん』
    ミラノ
    講評
    コンプレックスと戦いながらも、ポジティブに自分らしく過ごす30代女性の日常やファッションの楽しさを描くコミックエッセイ。

    洋服のディテールやコーディネートのイラストがしっかり描かれており好感が持てる。テーマと絵の雰囲気がマッチしている点も魅力的。過去を乗り越え、自分の気持ちがどう変わったかが描かれているが、コンプレックスの部分を掘り下げていくことで、よりカタルシスが生まれるのではないか。また洋服と比べると人物がデフォルメされているので、表情などはもっと細かく描けると良さそう。ぜひフルカラーにも挑戦して欲しい。

第22回 新コミックエッセイプチ大賞 1次審査通過作品

審査会にて1次審査を通過した全作品の講評を掲載します。


  • 『ごはんでロシアを旅しよう!』
    広海走
    講評
    友人と共にロシア料理を味わい、日本にいながら異国旅気分を楽しむコミックエッセイ。

    愛らしいキャラと味のある絵柄、テンポの良い構成力が魅力。惜しいのは、エッセイとしての深みが足りないこと。読者を惹きつける独自の発見など、内容の掘り下げが欲しい。また、主役である「料理」のイラストをカラーで丁寧に描き込むことで、作品の魅力がより一層引き立つのではないか。
  • 『血糖値が気になるファラオ』
    TOME(元アプリ開発者47歳)
    講評
    検診で血糖値の高さを指摘された主人公(ファラオ)が、センサーを用いて生活習慣を改善していくコミックエッセイ。

    健康テーマと「ファラオ」の奇抜な設定を掛け合わせたアイデアが面白い。内容も読みやすく好感が持てるが、「なぜファラオなのか」という必然性が描ききれておらず、勿体ない。また、絵柄やトーンが渋く、読者を選ぶ可能性がありそう。ファラオの強みを活かした展開づくりや、絵柄を可愛らしくするなどターゲットに合わせた工夫に期待したい。
  • 『AIに仕事をとられて農業デビューした話』
    皆生 桜子
    講評
    美術系の仕事をしていた著者が桃の農作業バイトに挑戦し、過酷な現場で新たな気づきを得るコミックエッセイ。

    「AIに仕事を取られて農業へ」というキャッチーなテーマが魅力。実体験ならではのリアルな言葉選びや開放感の描写が素晴らしいが、果物が美味しそうに見えないのが惜しい。色付けやイラストの丁寧さを意識して視覚的な魅力を高めれば、さらに輝く素敵な作品になるのでは。
  • 『酒蔵見学へ行こう!』
    ヨシダリ
    講評
    北海道の酒造を訪れ、酒造りの見学や試飲を通して日本酒の魅力を満喫するコミックエッセイ。

    酒蔵の詳しい図解や美味しそうなカラーの食事など、見ごたえある丁寧な描写が魅力。杉玉などの豆知識も面白く、お酒好きの興味を惹く作品に仕上がっている。絵や表現には少し硬さがあるので、お酒を飲んだ時のリアクションなど、演出の引き出しを増やしたい。初心者向けにも分かりやすく噛み砕く工夫を加えれば、さらに多くの人が楽しめる作品になるのでは。
  • 『洋館ではたらく』
    いだ
    講評
    洋館スタッフとして働き、接客などの業務を通じて建物の魅力を噛み締めるコミックエッセイ。

    「洋館のスタッフ」という珍しい仕事や、可愛らしく親しみやすいイラスト、丁寧なストーリー展開に好感が持てる。一方で、せっかくの洋館という魅力が作画から伝わりきっていないため、まずは描き込みを増やしたい。出窓やおしゃれな調度品など、読者がワクワクする描写を増やして、洋館ならではの空間描写に期待したい。

編集長総評


第22回「新コミックエッセイプチ大賞」総評
第22回「新コミックエッセイプチ大賞」が開催されました。

リニューアル前の「コミックエッセイプチ大賞」と合わせて通算51回目となる今回は、郵送応募とWEB応募ともにたくさんのご応募をいただきました。今回は応募作品のなかから、『ほのかな夜には絵日記を』『休みときどき学校』『夢のロマンティックおばさん』の3作品が入賞となりました。おめでとうございます。

今回も受賞作は、3作品それぞれに違った作画の魅力が光っていました。

『ほのかな夜には絵日記を』は、とにかくイラストが魅力的。主人公の髪型も含めて古き良きコミックエッセイの香りを感じさせる人物造形で、身に着けている服や小物はもちろん、キッチンやトイレの描き込みも細かくて、見ているだけでも楽しい作品でした。

『休みときどき学校』は、ここぞというページやコマの色鮮やかな着色が選考会で話題になりました。主人公(母親)と娘、学校の先生が3人で学校の池のメダカに餌をあげる場面で、水中からのアングルでメダカとともに3人の姿を描いたコマは、言葉はなくとも伝わってくるものがあります。

『夢のロマンティックおばさん』は、やはりカラフルなファッションイラストが目を引きました。「人目を気にしてできていないけど、本当はもっと好きな服を着たい」という気持ちは、実はけっこうたくさんの人が持っていると思います。そんな素朴な気持ちを掬い上げている点もいいですし、何より自分自身が楽しそうな雰囲気が伝わってきました。

これらの受賞作から発展して、どんな作品・書籍が生まれるのかがとても楽しみです。KADOKAWAコミックエッセイ編集部では現在、プチ大賞を含めて複数の新人賞を実施しています。

・新コミックエッセイプチ大賞
・猫コミック新人賞
・キャラクターコミック新人賞 ※不定期。キトラ編集部との共同開催

これはと思う新人賞があれば、ぜひご応募いただけると嬉しいです。

また前回行ったCOMITIAでの出張編集部では、おそらく出張編集部史上最も多くの持ち込みをいただきました。次回は2026年12月13日(日)に開催されるCOMITIA158での出張編集部参加を予定しています。こちらもよろしくお願いいたします。

次回の新コミックエッセイプチ大賞の応募締切は2027年2月末日です。詳細はコミックエッセイ劇場のプチ大賞募集要項ページでご確認いただけると幸いです。引き続きたくさんのご応募を心よりお待ちしております。

KADOKAWA コミックエッセイ編集部
編集長 山﨑 旬