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受賞者発表

コミックエッセイプチ大賞

今回も多数のご応募ありがとうございました!
応募総数180通を超える作品のなかから選ばれた受賞作を発表します。

ほんとはピンクがすきだった

rena

【講評】自身の女性らしさを嫌悪していた作者が、しだいに「私という人間」に向き合っていく心の機微を描いた作品。ピンク色=女性らしさの象徴への抵抗感を通じて、思春期特有の繊細な心情を丁寧に表現することで、現代的なテーマを描いた手腕が高く評価された。応募作では物語のテンポがやや駆け足な印象があるため、書籍化をめざすにあたっては読者の共感を誘う、より掘り下げた心情描写を期待したい。

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日々郷愁

宮田ナノ

【講評】現在は東京でデザイナーとして働く作者が、田舎で暮らしていた幼少期を回想して描いた日常エッセイ。内容はいたって地味ではあるものの、センスのある落ち着いた絵柄と、読み手をノスタルジックな気分にさせるやさしい空気感に惹きつけられた。コマ枠の小ささや文字で説明しすぎる点など、漫画としての見せ方に課題は残るが、自身の持ち味を活かしながら、よりテーマ性のある作品を描いてほしい。

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総評

第10回「新コミックエッセイプチ大賞」を開催しました。
リニューアル前の「コミックエッセイプチ大賞」と合わせて通算39回目の開催となる今回は、180作品を超えるご応募をいただき、『ほんとはピンクがすきだった』と『日々郷愁』の2作品が入賞となりました。

『ほんとはピンクがすきだった』は、タイトルからもわかるとおり、いわゆるジェンダーバイアスを扱った作品です。
ジェンダーバイアスというのは、男女の役割について固定観念を持つこと。と言うとつい、「女の子はピンクが好きで、男の子は赤が好きという世間の固定観念に悩む……」というようなエピソードを想像してしまいますが、この作品で描かれる主人公(作者)のように、思春期に「女の子らしさ」が急に恥ずかしくなり、女の子らしい格好やふるまいを意識して避けるようになった、という経験をもつ人も実はたくさんいるのではないかと思います。
同級生の女友達と仲良くなったことをきっかけに、お揃いの雑貨を買ったり、プリクラを撮ったり、クレープを食べたりという、何でもない些細な出来事を「久しぶりに心から楽しんだ」主人公。「女の子らしい自分」でも「女の子らしくない自分」でもなく、ありのままの自分を再発見するその姿は、とても自然体で清々しい印象を受けました。
また、応募作品に添付されたエントリーシートの内容が面白く、作者の飾らない人柄が伝わってきた点も審査会で言及されました。コミックエッセイプチ大賞では、応募作品そのものだけでなく、エントリーシートの内容も実は大事な審査要素の一つにする場合があります。エントリーシートからは、作者の人柄やサービス精神、熱意が伝わってくるからです。作者ご本人のことはもちろん知らないのですが、「こういう人なのかも」と想像しながら応募作品を読むと、また印象が変わってきます。


もうひとつの受賞作『日々郷愁』は、絵柄に一目惚れをしてしまいました。
田舎への帰省や、幼少期の思い出など、応募作品に描かれているのは、良く言えばかけがえのない日常ですが、悪く言えば地味なエピソードばかりでもあります。けれど、そこに登場する人物も、食べ物も、アイテムも、この作者のタッチで描かれると途端に味が出てくるような、なんとも言えない個性とセンスがあると思いました。年齢はまだ若いのに、作風のこの落ち着き具合……そんなギャップにも惹かれるものがありました。
一方で、タイトルからもわかるとおり、応募作品には軸となるような強いテーマはありません。審査会では「絵柄や雰囲気には惹かれるけれど、この方に一冊の本を描く力はあるのだろうか?」という意見も聞かれました。確かに、今回の受賞をきっかけに書籍の刊行を目指すにあたっては、一冊を貫く強いテーマは必要だと思います。そこは担当編集との打ち合わせなどを通してぜひ熟考していただきたいですが、「何かはまだわからないけれど、何かを描いてほしい」と編集者に思わせる力というのは、コミックエッセイ作家にとって大きな武器だと思います。これから新しく描いていただくネームや原稿を読むのをとても楽しみにしています。


さて、今回プチ大賞を受賞された方々には、賞金10万円と、編集部より担当が付き、書籍化に向けて動き出すことになります。
すてきなコミックエッセイ作品が完成することを心から期待しています。

次回の新コミックエッセイプチ大賞にも、どうぞご期待くださいませ。
今後も皆様のご応募を、心よりお待ちしております。

コミックエッセイ編集部
編集長 山﨑 旬

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